2025年4月の制度改正以降、軽貨物(黒ナンバー)の個人事業主でも「業務の記録(運行記録)」の作成・保存が重要になっています。 点呼記録簿だけ整えても、事故が起きたときに「いつ・どこで・どれだけ走り・休憩し・異常がなかったか」を説明できないとリスクが残ります。

この記事でわかること
- 業務の記録(運行記録)で書くべき6項目(必須)
- 点呼記録簿との違い/どっちが先か
- 保存期間と、紙でも電子でもOKな範囲
- よくあるミス(空欄・距離未記載・休憩の書き忘れ)
- 事故が起きたときの報告(24時間以内の速報/30日以内の報告のイメージ)
結論:軽貨物の「業務の記録」は、毎日5分で“事故後の説明力”を作るもの
軽貨物の仕事は、配達そのものよりも、事故・荷主トラブル・保険対応で一気に時間とお金が溶けます。業務の記録は「取り締まり対策」だけでなく、いざという時に自分を守る証拠になります。
- 点呼記録簿:出発前後の健康状態・アルコール・車両異常などの確認
- 業務の記録:その日の運行の事実(時間・距離・休憩など)
- 事故時の記録・報告:再発防止まで含めて「説明できる状態」を作る
先に確認:この記事の対象
この記事は、個人事業主(1人親方)として軽貨物(黒ナンバー)で稼働している人向けです。複数台・複数人の事業者は、営業所管理や社内ルール整備の観点も追加で必要になります。
まだ制度全体を掴めていない方は、まずこちらを先に確認してください:貨物軽自動車安全管理者とは?選任・講習・届出(2026)
1) 2025年4月以降の軽貨物で増えた「やること」(ざっくり全体像)
制度改正で増えた対応は、ざっくり次のカテゴリに分けると整理しやすいです。
| カテゴリ | 例 | 個人事業主の優先度 |
|---|---|---|
| 人(管理) | 安全管理者の選任・届出、講習 | 高 |
| 運行(記録) | 業務の記録(運行記録)の作成・保存 | 高 |
| 点呼(体調・酒) | 点呼、点呼記録簿 | 高 |
| 教育(指導) | 初任運転者等への特別な指導、適性診断(対象者) | 中(対象なら必須) |
| 事故(報告) | 事故の速報・報告、再発防止策の記録 | 中(起きたら必須) |
2) 業務の記録(運行記録)で書くべき6項目(テンプレ)
まずは「何を書けばいいか」を固定化します。細かい表現よりも、毎日抜けなく残ることが最優先です。
業務の記録:6項目チェック(必須)
- 運転者の氏名
- 車両番号(ナンバープレート等)(例:品川 580 あ 12-34)
- 業務の開始・終了の地点と日時(例:川崎→川崎、08:10〜18:40)
- 主な経過地点(例:川崎→品川→大田→川崎)
- 業務に従事した距離(その日の総距離でOK。メーター写真があると強い)
- 休憩(または睡眠)をした場合の地点と日時(例:コンビニ駐車場 12:10〜12:40)
ポイント:空欄を作らない(未記入=当日作ってないと疑われやすい)。「主な経過地点」は、地名を並べるだけでも運行実態の説明が一気に強くなります。
テンプレをそのまま使いたい方向けに、CSV雛形も用意しました(ローカルで管理して、月末にまとめて保存でもOK)。
3) 点呼記録簿との違い:結局どっちを先に書く?
迷う人向けに、運用の順番だけ決めます。
- 出発前:点呼(体調・睡眠・飲酒・車両)→点呼記録簿
- 帰庫後:点呼(異常の有無、疲労)→点呼記録簿
- 1日の最後:業務の記録(開始/終了、距離、休憩、概要、異常)
点呼記録簿テンプレが必要な方は、国土交通省の例(公式)を参照しつつ、こちらの実務テンプレも合わせて確認してください:軽貨物の点呼記録簿テンプレ(2026)
4) 保存期間と「紙でも電子でもOK?」の考え方
保存ルールは、行政資料・規則の解釈に従うのが安全です。国土交通省の説明資料では、業務の記録は書面または電磁的方法で1年間保存する前提で整理されています。実務上は、次の方針で運用すると事故時に強いです。
- 毎日の記録:紙でもスプレッドシートでもOK(ただし改ざん疑義が出ない形が望ましい)
- 写真ログ:走行距離メーター、給油レシート、ETC利用明細は月単位で残す
- 保管:「作ったことを説明できる」状態(タイムスタンプ、クラウド保管、バックアップ)
5) 事故が起きたら:やることを“日付で”覚える(速報24時間/報告30日)
事故対応は記事1本分のボリュームなので、ここでは「期限感」だけ押さえます。重要なのは、事故の内容によって「速報(24時間)」が必要なケースがあることです(重大事故等)。詳細は、事故対応チェックリストも参照してください。
- 事故発生から24時間以内:重大な事故等は「事故の速報」(電話等)が必要
- 事故があった日から30日以内:該当する事故は所定様式で「事故の報告」(再発防止策を含める)
- 同時に:荷主・委託元・保険会社・警察の連絡フローを固める
- 参考:軽貨物ドライバーの事故対応チェックリスト(2026)
- 一次情報:国土交通省 事故報告制度の流れ
6) つまずきポイント(よくあるNG)
- 休憩の地点が空欄:「いつ休んだか」を説明できない(過労運転の疑義が出やすい)
- 走行距離がない:運行実態が曖昧になりやすい(給油/整備/保険の整合も取れない)
- 異常の有無が未記載:「書き忘れ」なのか「確認してない」なのか判断できない
- まとめて週末に記入:事故後に時系列の説明が弱くなる(思い出し修正が増える)
内部リンク:収支が不安定なら、記録と同時に“固定費”を先に潰す
記録・制度対応は「守り」です。守りを固めたら、次は「手取りを増やす」順番を決めます。
記録ができたら、燃料費と高速代を分ける(PR)
業務の記録で走行距離が見えたら、次は燃料費・高速代を事業用に分けます。月末に「走った距離」と「使ったお金」が合うと、赤字案件を見つけやすくなります。
- ガソリンカード比較:燃料費の明細管理
- 法人ETCカード比較:高速代の明細管理
まとめ:今日から「点呼+業務の記録」を固定化する
- 点呼記録簿は「健康・酒・車両」
- 業務の記録は「運行の事実(時間・距離・休憩)」
- 事故が起きたら「速報24時間/報告30日」の期限感を持つ

