軽貨物ドライバーの仕事に「月収50万円以上可!」といった求人が目立ちます。魅力的な文言に惹かれて業界に飛び込む人も多いですが、その実態を知らずに契約してしまうと、思わぬ落とし穴にハマることがあります。
この記事では、実際に軽貨物ドライバーとして働いた筆者の体験をもとに、ロイヤリティの仕組みと実態、稼げる仕組み・搾取のカラクリ、そして後悔しない会社選びの方法を解説します。
軽貨物ドライバーとは?【未経験から始められるが、注意点も】
軽貨物ドライバーは、軽バンや軽トラックを使って荷物を配達する業務です。個人事業主(業務委託)として働くことが多く、フリーランスのような自由さと、努力次第で高収入を狙えるのが特徴です。
しかし一方で、「実際は稼げなかった」「話が違った」といった声も多く、その理由のひとつが「ロイヤリティ」や「中抜き」なのです。
ロイヤリティとは?軽貨物ドライバーにかかる“見えないコスト
ロイヤリティとは、配送会社と業務委託契約を結んだ際に、売上から差し引かれる手数料のことです。この金額は業者によって異なり、実際の収入に大きく影響します。
ロイヤリティの主な種類と具体例
1. 売上歩合型(10〜20%)
このタイプは、あなたの月間売上に応じてロイヤリティが変動する仕組みです。
例えば、月の売上が40万円でロイヤリティ率が15%の場合:
- 売上:40万円
- ロイヤリティ:40万円 × 15% = 6万円
- 残る金額:34万円(ここからさらにガソリン代・リース代などが引かれます)
つまり、稼げば稼ぐほど手数料も増えるという側面があります。一定以上の売上を維持できるかが重要なポイントです。
2. 固定額型(月3万〜6万円)
このタイプは、売上に関係なく、毎月固定でロイヤリティを支払う契約です。
例として、ロイヤリティが月5万円の場合:
- 売上30万円 → 手元に残るのは25万円(固定額なので負担大)
- 売上45万円 → 手元に残るのは40万円(実質負担率が下がる)
売上が安定して多い人にとっては有利な仕組みですが、売上が少ないと赤字に転落することも。
契約前には必ず、ロイヤリティの「種類」「計算方法」「何に使われているのか」を明確に聞いてください。
中には「サポート費」「管理費」などの名目で詳細を隠す企業もあります。疑問が残る会社には契約しない判断も重要です。
契約前には必ず、ロイヤリティの「計算方法」「上限」「何に使われているのか」などを確認しましょう。
【体験談】「手取り50万円のはずが…」ロイヤリティの罠
某大手宅配会社に「手取り50万円」という求人を見て入社しました。 最初は「これはすごい!」と意気込んでいたのですが、入社後に知ったのは15%のロイヤリティ。
加えて、
- ガソリン代(毎月3〜5万円)
- 車両リース代(月4万円前後)
- 各種整備費用(オイル・タイヤ・バッテリー等)
- 任意保険・駐車場代 など
最終的な手取りは「20万円後半」でした。 「こんなに働いたのに、これだけしか残らないのか…」と毎月ため息。
多重下請け構造の“見えない搾取”に注意!
筆者のもうひとつの経験談を紹介します。
「大手宅配会社の案件で働きたいと思い、あるA社に業務委託として入社しました。ところが、その会社は実は1次請けではなく、2次・3次・4次と下に連なる下請け構造の中の末端だったのです。」
「売上は40万円ありましたが、最終的に22万円が中間業者に抜かれていました。ロイヤリティ以外にも“中抜き”という名の搾取が存在することを痛感しました。」
このような多重下請け構造では、中間マージンが何層にも発生し、最終的に現場で働くドライバーの報酬が削られる仕組みになっています。
応募時に確認すべきポイント
- 元請企業か、それとも何次請けか?
- 案件の流れ(どこから依頼が来ているか)
- 支払明細に明確な根拠があるか?
筆者からのメッセージ: 軽貨物ドライバーを目指す上で、「稼げる」だけでは不十分です。 自分の努力が正当に評価され、きちんと還元される環境を選ぶことが最も大切です。 ただ案件を選ぶのではなく、自分を守れる会社を選んでください!
契約書を交わさない会社には要注意!
軽貨物業界では、業務委託契約でありながら「契約書を交わさない」会社も少なくありません。
これは法的にも非常に危険であり、後から「話が違う」「聞いていない」などのトラブルが起きた際に、ドライバー側が圧倒的に不利になる可能性があります。
「口約束で始めた仕事、途中から報酬体系が勝手に変えられた」「手取りがどんどん減っていったけど、何を根拠に引かれているのかわからなかった」
このような事態を防ぐためにも、
必ず確認すべきこと
- 契約書が存在するか(紙面 or 電子)
- ロイヤリティの割合と名目が明記されているか
- 支払いサイト(締日・支払日)が明確か
契約書を作成しない時点で、その会社は避けるべきです。ドライバーの立場を軽視している証拠と言えるでしょう。
契約書は、あなたを守る最後の砦です。どれだけ言葉巧みに良い条件を提示されても、文書に残らない約束は、約束とは言えません。
まとめ|軽貨物で後悔しないためにできること
軽貨物業界には魅力もありますが、同時に情報の非対称性や搾取構造、ブラックな契約環境も少なくありません。だからこそ、これから始める方には以下の点を強く意識してほしいと思います。
✔ チェックポイント再確認
- 募集元は何次請けか?
- ロイヤリティと中抜きの詳細は開示されているか?
- 手取りベースの月次収支をシミュレーションしたか?
- 契約書は交わしているか?
- SNS・口コミ・他ドライバーの評判を調べたか?
あなたを守るのは“情報”と“行動力”
あなたの労力と時間は、正しく評価されるべきです。高収入の謳い文句に惑わされず、現場のリアルに耳を傾け、自分の目と判断で会社を選ぶことが、軽貨物ドライバーとしての第一歩です。
「なんとなく」で契約するのではなく、「納得して」仕事を始められるように。
もし今まさに応募を検討しているなら、この記事を参考にして、焦らず慎重に、一歩ずつ確実に進んでください。
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